ビジョンとは 自分を見失わないあるイメージ

ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。』の考え方の一つに、「目標を立てない」があります。
目標を立てる代わりに、目指す方向性だけを決める方が、結果的に多くを成し遂げられるという考えです。

人生は一本道ではなく、複雑な多面体。
目標を立てず、自由に気の向くまま創造的に行動すると、すばらしい体験に巡り会え、人生が大きく発展していくと著者のマイク・マクナマナス氏は言います。

しかし、現代は情報社会。
気の向くまま情報に触れていると、いつの間にか本来は望んでいなかった方向へ進んでしまう可能性があります。
そんな時「ビジョン」を持つことが大事だと、私は思います。

 

目次

ビジョンとは何か

ビジョンとは「こうなりたい、こういう生き方をしたい」と、ありありと描いた姿です。
ビジョンは、人生で一貫している必要はなく、数年ごと、もしくは十年ごとに変えてよいものです。

なぜなら自分が成長するとともに、憧れる対象も変わりますし、ビジョンに向かって挑戦してみたら自分に向いてないと分かることもあります。

そうなれば、また別のビジョンを探してもよい、とても柔軟なものです。

しかし、自分の行動や方向性を規律立たせる、強い存在でもあります。

 

情報の罠

私はライターのはしくれですが、ライターになった理由は
「私が文章を書くのが好きだと人からわかってもらえるから」
でした。

いざライターになってみると、この仕事で食べていくのはすごく大変だと分かります。
以前イベントで知り合った、私と同じ年でライター歴十年の女性は「この仕事で食べていけるまで、2、3年かかった」と言っていました。

多くのライターは複数の仕事を請け負っています。ライターになりたてだと、仕事を取ること自体難しく、仕事の数も収入も少ない日々が続きます。
仕事の取りかたについては、ネットにも多く載っています。

 

今は、副業ブーム。
ライティングを始める方も多く、ネットでは「月3万円を目指す仕事の取り方」や「高額案件を獲得できるコツ」などノウハウがたくさん出てきます。

ネットで推奨されている方法は、大体似ているので信憑性があるでしょう。
私もこの通りにやればうまくいくかもしれない、と思います。

ノウハウ通り行動すれば、低収入で不安定な状態から抜け出せるかもしれません。
実績を積めば、希望の案件や大きなチャンスに巡り会えるでしょう。

しかし、はたと気づきます。
「そもそも、自分はどんなチャンスに巡り会いたいんだろう、ライティングを通して自分は何を表現しかったのだろう」
と、思うのです。

この問いかけがないと、大量の情報の中で自分を見失いそうになります。

そして、ライバルの多いライティング業界で、熾烈な戦いに呑み込まれてしまします。

長く戦い続ける必要がある業界で、一度も浮かび上がることなく溺れる危険があります。

 

私のビジョン。ある作家の風景

私の心に強く残る風景があります。

それは20世紀を代表するSF作家、『2001年宇宙の旅〔決定版〕』の著者であるアーサー・C・クラーク氏が語った、ある創作風景でした。
クラーク氏は知の巨人と呼ばれるSF作家。彼の著作は難解で、知性に憧れる私は何作も彼の本に挑戦しました。
しかし、まともに読めたのは『幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)』だけです。

そんなクラーク氏が、どこかの本である創作風景を語っていました。

 

それは確か、彼の初期の作品『都市と星』を執筆中の頃だったと思います。
彼は、一度書いた大量の原稿を推敲するため、自宅を出て豪華客船のスイートルームに閉じこもりました。

豪華客船の夜は賑やかで、毎晩のようにダンスパーティーが繰り広げられます。
クラーク氏は一度もパーティーに出席せず、大勢の人が食事をするレストランも避け、部屋に閉じこもって小説を完成させた、と語っていました。

彼は時折、パーティーの音楽や人々の歓声を聞きながら、原稿を見つめ、時折、窓から真っ暗で果てしない海を眺めて、また自分の小説世界に没頭したのです。

 

「何て素敵な光景だろう!」
クラーク氏が目にした光景が、私の目に浮かびました。

彼が全集中を小説に注いでいるうちに、ふと顔を上げると、スイートルームには彼が描く架空の都市や宇宙が広がっています。
彼は、そのなかを彷徨いますが、耳にはパーティーの喧騒と波の音が聞こえるのです。

そんな夢のように美しい光景が、読んだ瞬間から私の中に強く残りました。

「こうなりたい、こんな創作をしてみたい」
そういう姿がそこにありました。

私にとってのビジョンは、言葉で明確に表現できない、こうしたイメージです。特に私のように、現実味がないタイプにとっては、こうしたイメージからビジョンを持つ方が救いになったりします。

 

ビジョンのイメージから本質を?

ビジョンがイメージだった場合、イメージがもつ本質を探った方が、よいのでしょうか。

例えば、このビジョンからは

・作家であること
・経済的に豊かであること

が、不可欠の要素となっています。

しかし、それだけでなく他にも

・自分の世界観を創作した仕事をしていること
・他者の存在を感じながら没頭できる場があること
・美しい自然がすぐそばにあること

が、抽出できると思います。

しかし、この抽出は今の私が考えたもの。
現在の私のレベルでしか思いつかないキーワードです。

ですから、この美しい創作風景をそのまま心に残しビジョンとしています。
この光景から他に何を読み取れるのか、私の成長によって変わるだろうと思うからです。

現時点では「自分が作った世界観を創作できること」が私の方向性です。
そう分かれば、ライティング業界の荒波を泳いだり飛び込んだりする時も、そのビジョンが心にあることを忘れません。

時に岸辺に上がり、胸のなかからビジョンを手のひらに置いて、空に飛ばし眺めることができます。

そうやって、自分の目の前の仕事や行動がビジョンから離れたものになっていないか、確認することができます。

 

ビジョンがプレッシャーにならないために

どちらにしろ、何か結果を出そうと行動しているうちは、挫折はつきものだし、いばらの道です。
色々なことを試して、たくさんの人と出会い話をして、ようやく自分の方向性が自分が合っているか分かるものだと思います。

挫折し傷ついた時、ビジョンはプレッシャーではなく、自分を癒す美しいイメージとして意味を変えてもよいかもしれません。

自分がその姿になれなくても、別の形で表現することができます。
例えば、小さな小説を書いて、その中で描く、とかです。

まだ私はライターデビューをしたばかりですが、それでも自分が行動していると、行動している人たちに出会えます。行動している人の多くは魅力的な人たちばかりです。
人生を楽しんでいるのが分かります。

たくさんの人と出会い、関わるのは人生の醍醐味の一つですね。

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